Twitterに投稿した140文字SSいろいろ3
●「蔦王」関連
うちの子の家族構成
「夫と兄と両親」
家族構成を問われた菫がそう答えると、隣でヴィオラントが目を細めた。
相変わらず動きの少ない表情から感情は読み辛いが、容易くそれを成した菫が首を傾げる。
「なんで、嬉しそうなの?」
「私の存在が、最初に上がったから」
その答えに、菫はなるほどと頷いた。
好きな人に無言で見詰め続けられたときのうちの子の反応
「あの……」
眼鏡越しの視線にルリはおろおろした。
けして口下手でないその人が無言で自分を見つめている。
ルリは髪や顔に手をやり、しかし最終的には眉を八の字にして彼を見上げた。
「あの、何か?」
「いいえ、可愛らしいなと思って」
うちの子が記憶喪失になってもこれだけは覚えていそうなこと
「俺は誰?」
頭を打ったルータスがそう呟いた時、郁子は面倒臭いことになったと思った。
ただでさえボケボケしている男が記憶喪失。
きっと郁子のことも綺麗さっぱり忘れたんだろう。
ところが彼は郁子を指差して言った。
「君は酒豪」
●「シロツメクサを君に」
うちの子に寂しいから傍に居てと言わせてみる
「いってらっしゃいませ」
見送りの言葉は消え入りそうに小さく、彼は返事をしかけた口を噤んで振り返った。
俯く少女の表情は分らずとも、ペタリと伏せた長い耳がその心情を雄弁に物語っている。
彼は生まれて初めて、ずる休みというものをしたくなった。
襲いたいのを必死に堪えているのに好きな子が擦り寄って来た時のうちの子の反応
出迎えを労る笑顔の影で、長官は右手を強く握り締めた。
服から飛び出た彼女のふわふわの尻尾。
それを掴みたがる手を押えるためだ。
そんな彼の気も知らず、ウサギ娘は主人の帰宅を喜び小さなしっぽをぷるぷると振った。
バレンタイン
「お前が落としたのは、赤い箱かい?それとも青い箱かい?」
疲れて帰宅した長官は、出迎えた姉の戯れ言に眉を顰めた。
しかし箱の中身がチョコで、それを作ったのが愛しのウサギ娘だと聞くと、すかさず「赤も青も私のものです」と答えた。
「どちらかが唐辛子入りでも?」
「さしたる問題ではありません」
出迎えた娘に、ふと長官は首を傾げた。
「チョコを食べました?」
「えっ!?」
娘は慌てて口元を拭う。
口の周りにチョコが付いているのかと思ったらしい。
長官はそれに苦笑しつつ、ほんのりピンクに染まった娘の長い二本の耳の間に顔を埋める。
ふわふわのウサギ耳からも金色の髪からも、甘い香りがした。
●ツイノベ140文字
彼は闇の中で目を覚ました。
わんわんと響く巨大な音に薄い眉を顰める。
深く息を吸い込もうにも、口を開けば水ばかりが押し寄せ侭ならない。
「ここを出なければ」
彼はそう思い、本能的に悟った出口を目指して柔い壁を手探りに進む。
永遠に続くかに思われた闇は、やがて終点を迎えた。
#twnvday
うちの子の家族構成
「夫と兄と両親」
家族構成を問われた菫がそう答えると、隣でヴィオラントが目を細めた。
相変わらず動きの少ない表情から感情は読み辛いが、容易くそれを成した菫が首を傾げる。
「なんで、嬉しそうなの?」
「私の存在が、最初に上がったから」
その答えに、菫はなるほどと頷いた。
好きな人に無言で見詰め続けられたときのうちの子の反応
「あの……」
眼鏡越しの視線にルリはおろおろした。
けして口下手でないその人が無言で自分を見つめている。
ルリは髪や顔に手をやり、しかし最終的には眉を八の字にして彼を見上げた。
「あの、何か?」
「いいえ、可愛らしいなと思って」
うちの子が記憶喪失になってもこれだけは覚えていそうなこと
「俺は誰?」
頭を打ったルータスがそう呟いた時、郁子は面倒臭いことになったと思った。
ただでさえボケボケしている男が記憶喪失。
きっと郁子のことも綺麗さっぱり忘れたんだろう。
ところが彼は郁子を指差して言った。
「君は酒豪」
●「シロツメクサを君に」
うちの子に寂しいから傍に居てと言わせてみる
「いってらっしゃいませ」
見送りの言葉は消え入りそうに小さく、彼は返事をしかけた口を噤んで振り返った。
俯く少女の表情は分らずとも、ペタリと伏せた長い耳がその心情を雄弁に物語っている。
彼は生まれて初めて、ずる休みというものをしたくなった。
襲いたいのを必死に堪えているのに好きな子が擦り寄って来た時のうちの子の反応
出迎えを労る笑顔の影で、長官は右手を強く握り締めた。
服から飛び出た彼女のふわふわの尻尾。
それを掴みたがる手を押えるためだ。
そんな彼の気も知らず、ウサギ娘は主人の帰宅を喜び小さなしっぽをぷるぷると振った。
バレンタイン
「お前が落としたのは、赤い箱かい?それとも青い箱かい?」
疲れて帰宅した長官は、出迎えた姉の戯れ言に眉を顰めた。
しかし箱の中身がチョコで、それを作ったのが愛しのウサギ娘だと聞くと、すかさず「赤も青も私のものです」と答えた。
「どちらかが唐辛子入りでも?」
「さしたる問題ではありません」
出迎えた娘に、ふと長官は首を傾げた。
「チョコを食べました?」
「えっ!?」
娘は慌てて口元を拭う。
口の周りにチョコが付いているのかと思ったらしい。
長官はそれに苦笑しつつ、ほんのりピンクに染まった娘の長い二本の耳の間に顔を埋める。
ふわふわのウサギ耳からも金色の髪からも、甘い香りがした。
●ツイノベ140文字
彼は闇の中で目を覚ました。
わんわんと響く巨大な音に薄い眉を顰める。
深く息を吸い込もうにも、口を開けば水ばかりが押し寄せ侭ならない。
「ここを出なければ」
彼はそう思い、本能的に悟った出口を目指して柔い壁を手探りに進む。
永遠に続くかに思われた闇は、やがて終点を迎えた。
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