Twitterに投稿した140文字SSいろいろ2
Twitterに投稿した140文字SSをまとめてみました。
【蔦王関連】
ヴィオラントと菫
・今日はベッドの日なのでうちの子が恋人をベッドにお誘いする
「眠い」
そう言って、つんと袖を引かれる。
彼女がこれほど分かりやすく甘えてくるのは珍しく、本当に眠いのだろうと思う。
とはいえ、今夜もきっとすぐに寝かせてはやれない。
そう確信しながらも、ヴィオラントは黙って彼女を抱き上げた。
・恋人にトリックオアトリートと言ったら笑顔でお菓子を差し出された時のうちの子の反応
「trick or treat」
その台詞を予想していたらしい菫が、すかさず飴玉を差し出す。
甘味嫌いの男には、凶器。
しかし彼はそれを掴んで口に放り込むと、再び告げた。
「trick or treat」
・好きな相手を一発殴らないと出られない部屋
「歯、食いしばったよ!」
「そなたを殴れと?」
「ヴィー、私のこと好きでしょ?」
「それはもちろん」
「だったらさっさと殴ってよ。朝作ったプリン、そろそろ食べ頃なの!」
稀代の先帝に「頼むから殴ってくれ」などと言わせたのは、後にも先にも彼女一人。
・宝石の日
この家が最も多く所蔵している宝石は紫水晶である。
当主夫妻の瞳の色に合わせた最高級品だ。
けれど夫は、どの紫水晶よりも妻の瞳は美しく輝いて見えると言って憚らず、同じ色の瞳を優しく細めて彼女にキスする。
すると妻は少しだけ目元を赤らめて
「私はどの宝石よりもあなたの瞳が好きだよ」
と返した。
クロヴィスとルリ
・うちの子がお月見した
「月見酒とは粋ですね」
そう言ってクロヴィスは微笑んだ。
彼の妻もふふと笑い、グラスを傾ける。
少女のようでありながら存外酒に強い。
それでも杯を重ねれば、ほんのりと目元に色が載った。
それを眼鏡越しに見つめるクロヴィスにとって、月はワインに映ったもので充分だった。
・今日はベッドの日なのでうちの子が恋人をベッドにお誘いする
「お疲れですか?」
そう声をかけられ、クロヴィスははっとした。
無意識に目頭を揉んでいたらしい。
大丈夫だと答えようとしたが、ルリの言葉に気が変わった。
「今夜はもうお休みになられては」
「ええ、あなたと一緒ならば、今すぐにでも」
ルータスと郁子
・うちの子が嫁に花を贈る時
「ん」
帰宅するなり、ルータスが郁子の顔の前に片手を差し出してきた。
その手には茎の先端に穂になった赤い花が握られていて、彼はサルビアだと言う。
「あげる。蜜がおいしい」
「あ、ありがと」
「でも、吸い過ぎてはいけない。若干の毒性がある」
「そんなもん勧めんな!」
・お子さんの口調で何で泣いてるんですか離れないので安心してくださいを言ってください
「イクコ、何故トマトの木の前で泣いてるの?泣くほど好きなの?心配しなくても俺の作ったトマト、全部イクコにあげるよ?」
「……」
「ちなみに、ウチのトマトは辛いから生食できない」
「それを先に言えっ!!」
ルドヴィークとソフィリア
・お子さんの口調で何で泣いてるんですか離れないので安心してくださいを言ってください
「ソフィ、泣いてっ……?何があった!?」
「陛下、これ……」
「何だ、この緑色の物体は!毒か?安心しろ、すぐ医者を呼ぶ!私がついているから死ぬな、ソフィ!!」
「いえ、これはスミレがくれた……」
※ワサビ
【天井裏からどうぞよろしく】
・うちの子がお月見した
「月が丸いのはなぜでしょう?」
少女の呟きを耳にした皇帝は、ふむと顎に片手を当てた。
天文学的な蘊蓄を語るのは、今宵は無粋に思えて口を噤む。
と、少女がぱっと顔を輝かせて彼を見た。
「どこからでも、パンケーキみたいに美味しそうに見えるようにでしょうか?」
「それだ」
【シロツメクサが好き】
・10月1日はネクタイの日らしいのでうちの子にネクタイを結んでもらう
小さな手が懸命にネクタイを結んでいる。
彼は焦れることもなく、目の前でぴょこぴょこ動く金色の長い耳を眺めていた。
ふいに悪戯を思いつき、それをふっと吹いてみる。
耳はびくりとして、その持ち主が彼の胸元から顔を上げた。
・好きな相手を一発殴らないと出られない部屋
「私を殴りなさい」
その言葉に、娘はウサギ耳をびくりとさせ、慌てて首を横に振った。
「だんな様が私を殴って下さい」
彼女の言葉を、男は馬鹿な、と一蹴する。
「聞き分けなさい」
娘が己を好いていると確信している男は長身を屈め、彼女に頬を差し出した。
・いい獣人の日
いけないことだと頭では分かっている。
だが抗い難い誘惑に、思わず彼はそれに手を伸ばした。
ふわふわとして柔らかく、温かい。
もっともっと心ゆくまで触れたくて手に力を込めれば、それはたちまち震え出し、茜色の宝玉には涙の膜が張った。
「だんな様、耳、イヤ……です」
「すまない」
【その他】
・冷徹な30代後半の探偵と恐がりな魔法使いのカップルに出会った。
http://shindanmaker.com/107154
「捕縛!」
彼が追いつめた男を拘束する。
「ひいいっ!お願い、暴れないでえぇ……」
物理的に捕えるのは鋼の輪だが、それを縄たらしめるのは私の気合いだ。
と、逃れようと暴れていた男が、突然鼻血を噴いて地面に沈んだ。
「うちの嫁が怯えるだろうが」
拳を血に染めた彼が、冷たくそれを見下ろしていた。
・知った単語を唐突に使ってみる
※ツィンネ=城の上のなんかギザギザデコボコのあの弓とか射る時に隠れる場所
「今日、かみさんの誕生日でさ」
隣の男がそう言って、壁の隙間に生えた花を摘んだ。
「なのに今朝、喧嘩しちまって……」
ため息をつく男に僕は苦笑し
「ともかく夜まで持ちこたえて、その花を渡さなきゃね?」
そう言ってツィンネから身を乗り出し、敵兵へと矢を放った。
・ツイノベ「宝石」
東の果てには黄金の国がある。
そう最初に言ったのは誰だったろうかと思いつつ、男は向かいの人物を見つめた。
長い髪も睫毛も真っ黒な少女だった。
ちらりと見えた瞳もまた、黒。
黒真珠か黒曜石か、ともかく一瞬にしてそれは男を魅了し、黄金よりもこちらの宝を手に入れたいと思わせた。
【蔦王関連】
ヴィオラントと菫
・今日はベッドの日なのでうちの子が恋人をベッドにお誘いする
「眠い」
そう言って、つんと袖を引かれる。
彼女がこれほど分かりやすく甘えてくるのは珍しく、本当に眠いのだろうと思う。
とはいえ、今夜もきっとすぐに寝かせてはやれない。
そう確信しながらも、ヴィオラントは黙って彼女を抱き上げた。
・恋人にトリックオアトリートと言ったら笑顔でお菓子を差し出された時のうちの子の反応
「trick or treat」
その台詞を予想していたらしい菫が、すかさず飴玉を差し出す。
甘味嫌いの男には、凶器。
しかし彼はそれを掴んで口に放り込むと、再び告げた。
「trick or treat」
・好きな相手を一発殴らないと出られない部屋
「歯、食いしばったよ!」
「そなたを殴れと?」
「ヴィー、私のこと好きでしょ?」
「それはもちろん」
「だったらさっさと殴ってよ。朝作ったプリン、そろそろ食べ頃なの!」
稀代の先帝に「頼むから殴ってくれ」などと言わせたのは、後にも先にも彼女一人。
・宝石の日
この家が最も多く所蔵している宝石は紫水晶である。
当主夫妻の瞳の色に合わせた最高級品だ。
けれど夫は、どの紫水晶よりも妻の瞳は美しく輝いて見えると言って憚らず、同じ色の瞳を優しく細めて彼女にキスする。
すると妻は少しだけ目元を赤らめて
「私はどの宝石よりもあなたの瞳が好きだよ」
と返した。
クロヴィスとルリ
・うちの子がお月見した
「月見酒とは粋ですね」
そう言ってクロヴィスは微笑んだ。
彼の妻もふふと笑い、グラスを傾ける。
少女のようでありながら存外酒に強い。
それでも杯を重ねれば、ほんのりと目元に色が載った。
それを眼鏡越しに見つめるクロヴィスにとって、月はワインに映ったもので充分だった。
・今日はベッドの日なのでうちの子が恋人をベッドにお誘いする
「お疲れですか?」
そう声をかけられ、クロヴィスははっとした。
無意識に目頭を揉んでいたらしい。
大丈夫だと答えようとしたが、ルリの言葉に気が変わった。
「今夜はもうお休みになられては」
「ええ、あなたと一緒ならば、今すぐにでも」
ルータスと郁子
・うちの子が嫁に花を贈る時
「ん」
帰宅するなり、ルータスが郁子の顔の前に片手を差し出してきた。
その手には茎の先端に穂になった赤い花が握られていて、彼はサルビアだと言う。
「あげる。蜜がおいしい」
「あ、ありがと」
「でも、吸い過ぎてはいけない。若干の毒性がある」
「そんなもん勧めんな!」
・お子さんの口調で何で泣いてるんですか離れないので安心してくださいを言ってください
「イクコ、何故トマトの木の前で泣いてるの?泣くほど好きなの?心配しなくても俺の作ったトマト、全部イクコにあげるよ?」
「……」
「ちなみに、ウチのトマトは辛いから生食できない」
「それを先に言えっ!!」
ルドヴィークとソフィリア
・お子さんの口調で何で泣いてるんですか離れないので安心してくださいを言ってください
「ソフィ、泣いてっ……?何があった!?」
「陛下、これ……」
「何だ、この緑色の物体は!毒か?安心しろ、すぐ医者を呼ぶ!私がついているから死ぬな、ソフィ!!」
「いえ、これはスミレがくれた……」
※ワサビ
【天井裏からどうぞよろしく】
・うちの子がお月見した
「月が丸いのはなぜでしょう?」
少女の呟きを耳にした皇帝は、ふむと顎に片手を当てた。
天文学的な蘊蓄を語るのは、今宵は無粋に思えて口を噤む。
と、少女がぱっと顔を輝かせて彼を見た。
「どこからでも、パンケーキみたいに美味しそうに見えるようにでしょうか?」
「それだ」
【シロツメクサが好き】
・10月1日はネクタイの日らしいのでうちの子にネクタイを結んでもらう
小さな手が懸命にネクタイを結んでいる。
彼は焦れることもなく、目の前でぴょこぴょこ動く金色の長い耳を眺めていた。
ふいに悪戯を思いつき、それをふっと吹いてみる。
耳はびくりとして、その持ち主が彼の胸元から顔を上げた。
・好きな相手を一発殴らないと出られない部屋
「私を殴りなさい」
その言葉に、娘はウサギ耳をびくりとさせ、慌てて首を横に振った。
「だんな様が私を殴って下さい」
彼女の言葉を、男は馬鹿な、と一蹴する。
「聞き分けなさい」
娘が己を好いていると確信している男は長身を屈め、彼女に頬を差し出した。
・いい獣人の日
いけないことだと頭では分かっている。
だが抗い難い誘惑に、思わず彼はそれに手を伸ばした。
ふわふわとして柔らかく、温かい。
もっともっと心ゆくまで触れたくて手に力を込めれば、それはたちまち震え出し、茜色の宝玉には涙の膜が張った。
「だんな様、耳、イヤ……です」
「すまない」
【その他】
・冷徹な30代後半の探偵と恐がりな魔法使いのカップルに出会った。
http://shindanmaker.com/107154
「捕縛!」
彼が追いつめた男を拘束する。
「ひいいっ!お願い、暴れないでえぇ……」
物理的に捕えるのは鋼の輪だが、それを縄たらしめるのは私の気合いだ。
と、逃れようと暴れていた男が、突然鼻血を噴いて地面に沈んだ。
「うちの嫁が怯えるだろうが」
拳を血に染めた彼が、冷たくそれを見下ろしていた。
・知った単語を唐突に使ってみる
※ツィンネ=城の上のなんかギザギザデコボコのあの弓とか射る時に隠れる場所
「今日、かみさんの誕生日でさ」
隣の男がそう言って、壁の隙間に生えた花を摘んだ。
「なのに今朝、喧嘩しちまって……」
ため息をつく男に僕は苦笑し
「ともかく夜まで持ちこたえて、その花を渡さなきゃね?」
そう言ってツィンネから身を乗り出し、敵兵へと矢を放った。
・ツイノベ「宝石」
東の果てには黄金の国がある。
そう最初に言ったのは誰だったろうかと思いつつ、男は向かいの人物を見つめた。
長い髪も睫毛も真っ黒な少女だった。
ちらりと見えた瞳もまた、黒。
黒真珠か黒曜石か、ともかく一瞬にしてそれは男を魅了し、黄金よりもこちらの宝を手に入れたいと思わせた。
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